ほんとうの成熟をした女性としての歌声・「童神」島袋寛子

島袋寛子さん。彼女はかつて一世を風靡したアイドルグループSPEEDのメインボーカルです。あのグループが過去輝きの限りを尽くせたのは、あくまでも彼女の歌声の実力だったのだと言いきってよいでしょう。

それを静かに証明するかのように実力がいかんなく発揮されていったのはあくまでもSPEED解散後のこと。

解散間もなく発表された再出発の歌「As Time Go By」、アイドル時代の高音が抑えられかえって切なく揺れる女性の心がビビットに浮き出る「Tresure」、気難しいイギリス人アレンジャーまでが本気を出したという彼女作詞の優しい子守歌「Baby don’t Cry」、また歌い手としての幅の広さを試していくジャズ分野の試み「CocoD’or」シリーズ。グループの枠を超えてからはどれもこれもが挑戦的で、彼女自身の可能性がそここから感じられます。
誰もに聞いてほしいと言えるだけの素晴らしい作品が多いです。

とりわけオススメが比較的新しいこの「童神」。
これは彼女の中の強い母性や沖縄に対する気持ちが整理され昇華されたもの。
空気に溶け込むように耳に胸に響きます。
今までの苦しみがすっきりそぎ落とされたようなジャケットの彼女の笑顔の横顔。3歳から歌い手としての自分を意識したとコメントしていた彼女のあまりに早く走ってきた道筋しか世間の大半は覚えてはいません。
だからこそ成熟した女性として彼女が生み出したこの曲は一人の女性の大きな成長も感じられて胸を打ちます。
世間に広く聞かれてしかるべき傑作であると思います。